これまで私たちは、当事者同士で経験を共有する時間を大切に活動してきましたが、「性交」を金銭取引の対象とするAV新法をこのまま通してはならないと危機感を持ち、2022年5月19日、反対声明を公開しました。そして、「AV業界に有利なAV新法に反対する緊急アクション」の勉強会と、5月22日に新宿駅東口で開かれたデモで声明文をスピーチし、初めて人前に立つこととなりました。
AV新法は2022年4月から施行された「成年年齢引き下げ」に伴い、新たに成人となった18〜19歳の若者が、民法の「未成年者取り消し権」にあたる権利をAV出演で今まで通り行使できるよう求めた被害者や支援団体の声に応えて検討が始まりました。
しかし、2022年4月28日に示された自民・公明党の骨子案では、これまで建前上は「演技」とされながら実際の撮影で行われてきた性交、つまり「本番」行為までもが契約で有効なものとされる、AV業者にとって大変都合のいい内容となりました。このままでは金銭取引に基づく「性交」を契約で有効なものと国が法的に定め、AVを公に認めることになると、反対の声をあげました。
性売買経験当事者ネットワーク灯火も、性売買の経験当事者としてこの法案に反対し、声明文で問題点を伝えています。
声明文はこちらからお読みいただけます。
AV新法は「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律案」として、問題を残したまま2022年6月15日に成立しました。2年後の改正に向けて、今後も性売買の実態への理解を広め、性交を金銭取引の対象としない社会づくりのために活動していきます。