性売買のなかにいる女性が「処罰の対象」であり続ける限り、被害はなくなりません

≪タイ人の12歳の少女が一か月で60人以上を相手に「売春」させられた事件をきっかけに「買春処罰法」導入を求める声が高まっていることから2025年11月21日に開催された緊急院内集会に参加し、以下のメッセージを訴えました。≫

私の周囲の男性のあいだでは、買春は「飲み会の延長」や「男同士の付き合い」の一部と
して当然のように語られていました。

風俗はテレビやラジオでもカジュアルな笑いのネタとして扱われ、買う側に罪悪感やため
らいはほとんどなく、それをおかしいと言うと、「空気が読めない」「面倒な女」とされ、
自分のほうが浮いてしまうような空気がありました。


そうした環境で育ち、自分自身が生活に困ったとき、「自分でなんとかしなくちゃ」「こう
するしかない」という考えしか思い浮かばず、性売買の中に吸い込まれていきました。
買春の話は軽い冗談や武勇伝のように扱われる一方で、私は後ろめたさを抱えていまし
た。


自然と人間関係は、同じ店の女性やスカウトや業者、客といった性売買の中だけになって
いき、社会と切断されていました。
そうして出来上がった大きな空白期間と、トラウマを抱えた状態で、外の社会と繋がり直
すのは困難でした。
性売買から離れるまで、そして離れてから生活を取り戻すまで、長い時間がかかりまし
た。


タイの少女の事件の報道に触れ、少女が捕まることを覚悟しながら助けを求めなければな
らなかったということに、過去の自分を重ねました。
買う側を罰するというだけで、この問題に蓋をしないでください。性売買のなかにいる女
性が「助けられるべき被害者」ではなく「処罰の対象」であり続ける限り、被害はなくな
りません。(ナツメ、30代)

少女や女性が体を売らなくてもいい社会を目指してください

≪タイ人の12歳の少女が一か月で60人以上を相手に「売春」させられた事件をきっかけに「買春処罰法」導入を求める声が高まっていることから2025年11月21日に開催された緊急院内集会に参加し、以下のメッセージを訴えました。≫

買春処罰は当然であり法整備を進めるべきですが、
その上で、路上で体を売る人達がなぜそこに至ったかを考えてほしいのです。

本当に体を売りたくて売っている人はいません。
そこに対する支援をしなければ、根本的な問題は解決されず、問題は悪化する可能性すら
あります。


体を売る女性達に対して処罰をするのではなく、
そもそも、そんな事をしなくても良い社会を目指すべきであり、
その為には何が必要とされるのか、今一度考えていただきたいです。(松本、20代)

性売買の中にいる女の子たちを責める法律を変えてください

≪タイ人の12歳の少女が一か月で60人以上を相手に「売春」させられた事件をきっかけに「買春処罰法」導入を求める声が高まっていることから2025年11月21日に開催された緊急院内集会に参加し、以下のメッセージを訴えました。≫

私は14歳で、性売買を始めました。
家にも学校にも居場所がなく、必要としてくれたのは、買春者たちでした。


行くところがなくて野宿していたとき、私に近寄ってきたのは買春者か、風俗店のスカウ
トだけでした。
「5000 円あげるからどう???」「どうせ行くとこないんでしょう」と買春を持ちかけて
くるのは、サラリーマンや、このまま会社に行く人達、普通の人たちでした。
当時の私は、その人たちは、自分を必要としてくれるんだと、嬉しいことだと思い込んで
いました。


私の周りには、そんな大人たちばっかりでした。

路上の性売買でも、風俗店でも、
嫌なことも嫌と言えず、ただ従うしかありませんでした。


そして、私は妊娠しました。
産むことも育てることも出来ないのが
現実でした。


体を売るしかない状況
今日を生きるためにそうせざるを得ない現実。


苦しかったしつらかったけど、そんなこと誰にも言えませんでした。


だからヘラヘラしていました。愛想笑いをして、楽しそうにふるまっていました。
これが楽しいことだ、必要とされているんだと思い込もうとしていました。


辛くても、生きるにはそれしかなかったからです。


その後、私は少年院に入り、夢乃さんに知り合い、Colaboに繋がりました。
あたたかいご飯、寝られる場所、見返りを求められない関係を得ることができました。
Colabo と出会って、嫌なことは嫌と言えるようになりました。


今は、性売買について私は
それをしなくてもいい社会を作るべきだと
考えています。


買春者たちは責められず、売った女が悪い。そんなのは間違ってます。

「体を売る女が悪い」と言う人がいるから、私も、自分のせいなんだと思っていました。
成人して風俗店や路上で体を売る状況の女性のほとんどが、子ども時代に私と同じような
経験をしています。


性売買の中にいる女の子たちは、買春社会の被害者です。
困ったときに誰も助けてくれない社会の被害者なんです。


性売買から抜け出した後も、声をあげれば、顔を出せば、汚い目で見られ、
周りにいる自分の大切な人たちも、同じ目でみられます。


どうか、どうかお願いします。
性売買をする女の子の背景をみずに、ものを言うのはやめてください。
性売買をした女の子たちを責める法律を変えてください。


汚い目で見るんじゃなく、女の子が性売買をしなくてもいきていけるように、
1 人1人の頭で考えて動いてください。(なお、20代)

買うことはいっときの快楽でも、私にとっては一生の傷なのです

≪タイ人の12歳の少女が一か月で60人以上を相手に「売春」させられた事件をきっかけに「買春処罰法」導入を求める声が高まっていることから2025年11月21日に開催された緊急院内集会に参加し、以下のメッセージを訴えました。≫

初めまして、大学四年生のものです。私は上京して大学1年生、19歳の頃に性売買の現場
にいました。大学で勉強するために上京してきたけど日々の生活のお金が無い、将来のた
めに貯金をしなければと足を踏み入れました。


私は普段、顔、実名を出して社会問題発信をしています。名前を出せるようになるまで時
間がかかりました。それは私を買った人がSNSにあげたりするのではないのか、そして将
来仕事につけなくなるのでは無いのかという不安があったからです。


今でもその不安は消えません。当時所属していたお店のポームページを見に行ったり、掲
示板を確認したりしてしまいます。


頭では買う男性が悪いとわかっていても、自分の心や体の傷は一生癒えません。
買うことはいっときの快楽でも、私にとっては一生の傷なのです。


今でも思い出しては悔しくなります。
性売買は、一部の女性たちの話ではありません。
私は、友人や周りの人には性売買の経験を明かしていません。それでも数名の友人から、
性売買を経験したという相談がありました。あなたの思っている以上に性売買は日常化し
ています。


性売買の背景には買う男性がいて、それが罰されないこと。そして性を売る女性が罰さ
れ、女性の経済的自立が難しいことが背景にあります。現状の法律である性を売る女性を
罰するのでは、買う人がいる限り、性売買を無くすことは出来ません。女性の性を買うこ
とを罰し、お金で女性を買えないようにしなければ、性売買は無くなりません。


また、先程お伝えしたように女性が罰されてる世の中では、性を売ることをした自分が悪
いと、女性は自分を責め続け、一生の傷を負います。


責任を女性に押し付け、男性快楽中心の社会になっていることを自覚してください。これ
までの歴史を見ても性売買は男尊女卑の世の中で生まれたものです。


そして、女性が性を売らなくても良いような社会を作ってください。
経済的支援とともに、女性の権利を守るような制度にしてください。


最後に、女性が尊厳を持ち生きられるためにも、今すぐにでも、買春を処罰すると同時
に、女性を処罰しない法制度の制定をお願いします。(かのん、20代)

少女人身取引事件は、特別なことではありません

≪タイ人の12歳の少女が一か月で60人以上を相手に「売春」させられた事件をきっかけに「買春処罰法」導入を求める声が高まっていることから2025年11月21日に開催された緊急院内集会に参加し、以下のメッセージを訴えました。≫

「タイ人の12歳の少女が人身取引の被害に遭い性売買をさせられていた」と聞くと「か
わいそう」という気持ちや「日本でそんなことがあるの?」と思う気持ちが湧くかもしれ
ません。


でも、これは特別なことではなく日本国内で昔から今まで広く続いていることです。


私自身、性売買の現場にいたことを周りには話していないし、話したら驚かれると思いま
す。そんなふうに、きっとあなたの身近にも性売買経験女性がいるし、そして、それより
多くの買春経験のある男性が身近にいることと思います。


路上や風俗店などの性売買の現場では、女性が金銭によって商品として取引され、性行為
を拒否や抵抗できない状況が作られています。これは人身取引であり人権侵害です。


性売買を経験した多くの女性が、性売買の現場で受けた身体的・精神的な傷を抱え、ケア
されないままでいます。その上、その傷が被害ではなく自分の選択の結果・自己責任にさ
れてしまっています。


しかし、この社会は女性が困窮した時に身体を売らせる社会であり、それを望んでいる男
性たちがたくさんいるからこそ、私たち女性は性売買の現場に足を踏み入れてしまうので
す。


女性に身体を売らせるために、女性は自立から遠ざけられ、男女格差が維持され続けてい
ます。男性たちは、まず自分たちがこの性搾取の構造を維持しているということを自覚し
てください。


現在の売春防止法は身体を売る女性を罰する法律です。でも、なぜ彼女たちが身体を売ら
ざるを得ないのか、その背景に目を向ければ女性たちが性売買以外の選択肢を持てるよう
な社会的なサポートが必要だということに思い至ると思います。


日本社会の女性を性売買に追いやる構造を変えるためには、買春者処罰と、同時に売春の
非処罰・脱性売買支援が必要です。(さとみ、30代)

性搾取の構造を踏まえた取材と報道を求めます

≪2025年7月24日、複数の報道機関により、東京・新宿区における性売買女性の摘発に関して、4名の女性の顔や名前、年齢、逮捕の様子が動画等で撮影され、報じられました。性売買女性を被害者ではなく加害者としてみなし、さらし者にする報道に抗議し、女性を処罰の対象とする売春防止法の改正と買春者処罰法の制定を強く訴え、緊急記者会見に参加し、以下のメッセージを報道各社に訴えました。≫

性売買の経験は、スティグマとして一生付きまといます。それなのに報道で顔を晒されてしまった彼女たちは、これからどうやって生きていけばいいのだろう。彼女たちの人権を尊重せず、彼女たちの人生や背景、そしてこの社会の性搾取の構造を理解しようとせずに報道する姿勢に怒りを覚えます。

私は、以前風俗店で働いていました。その時ホームページに載っていた写真や、掲示板に書かれた内容が、今でも検索すると出てきてしまうかもしれません。怖くて調べることもできません。もし私が性売買をしていたと周りにバレてしまったら、きっと軽蔑されたり、嘲笑されたりするのだろうなと不安を抱えながら生きています。

彼女たちはこれから、そんな社会の眼差しに晒されながら生きていかなくてはいけなくなってしまいました。これから彼女たちが体を売る以外の生活をしようしても、いつまでも性売買をしていた女性だという目で見られ続けてしまうことに、責任を取ることができますか。

そして、なぜ、さまざまな事情であの場所に立たなくてはいけない状況になってしまった彼女たちが逮捕され、自分の快楽のために彼女たちを搾取した男たちは野放しなのでしょうか。

私は、たまたま逮捕されませんでした。それは私が風営法で許可を受けているお店で働いていたからです。以前は「お店で働いていた方が安全」と思っていました。でも、風俗店で働いていた私の性売買の経験と、大久保公園の周辺に立つ女性たちの性売買の経験に、何か違いがありますか?

どのような形でも、性売買は性暴力であり、性搾取です。

一方では見せしめのように女性を罰しながら、もう一方では女性を買いたい男たちの欲望を満たすために風俗店を温存しつづけている日本社会は、結局、建前で「売春は社会の善良の風俗をみだす」と言いながら、男たちが性搾取をし続けられるように、むしろもっと性搾取をしやすくなるように、性搾取の構造を強化していっています。

性売買を性道徳の問題にせずに、女性の人権が侵害されている性暴力の問題であり人身売買の問題であるとわかって欲しいです。性暴力には加害者がいるし、人身売買にはブローカーがいます。どうかその、性搾取の構造を強化している人たちの方を報道してください。

そして、女性たちの置かれた状況を想像して、どうしたら女性たちが体を売る以外の選択肢を選べる社会にできるのか、この社会を作っている当事者の一人として考えてください。(さとみ、30代)

性売買女性を社会的に殺す報道を非難します

≪2025年7月24日、複数の報道機関により、東京・新宿区における性売買女性の摘発に関して、4名の女性の顔や名前、年齢、逮捕の様子が動画等で撮影され、報じられました。性売買女性を被害者ではなく加害者としてみなし、さらし者にする報道に抗議し、女性を処罰の対象とする売春防止法の改正と買春者処罰法の制定を強く訴え、緊急記者会見に参加し、以下のメッセージを報道各社に訴えました。≫

いつも女性側のみが顔出しで報道されるのは何故なのか。買った方に非はないのでしょうか。顔出しに実名までつけて全国へ垂れ流し、社会は性売買当事者女性をどうしたいのでしょうか。我々が一番恐れる事は性売買当事者である、あった事実が周りの人間へ周知される事です。このような報道のあり方、法のあり方によって我々は社会的に殺されたも同然です。どんなに取り戻そうと思っても過去は付き纏い平穏な日常は一生返ってきません。女性をこんな事をしなければ生きていけないよう追い詰めたのもまたこの社会なのにです。女性達を面白おかしく囃し立てているだけの悪趣味なメディアには反吐が出ます。(松本、20代)

今回の報道における、性売買女性への報道姿勢、ならびに現状の売買春処罰制度を強く非難いたします

≪2025年7月24日、複数の報道機関により、東京・新宿区における性売買女性の摘発に関して、4名の女性の顔や名前、年齢、逮捕の様子が動画等で撮影され、報じられました。性売買女性を被害者ではなく加害者としてみなし、さらし者にする報道に抗議し、女性を処罰の対象とする売春防止法の改正と買春者処罰法の制定を強く訴え、緊急記者会見に参加し、以下のメッセージを報道各社に訴えました。≫

①報道姿勢

報道というのは常に「権力を監視」し続けるものであり、市民を批判し、晒し出すものが目的ではありません。

大前提、売買春の彼女らは社会における性搾取の被害者であり、批判されるべきは女性ではなく、買春者そしてそれをきちんと取り締まらない権力者です。

ましてや、今回の女性らは20歳など若い年齢において、半永久的に残り続ける情報として彼女らに大きな不利益を被ります。

お金を受け取る際の動画を隠し撮りしている様子も彼女らが悪いような印象を与えかねません。

「金をだましとる悪質なグループ」というレッテルを貼り、報道することに大変遺憾であり、報道機関として残念に思います。

②現状の売買春処罰制度

上記にもあるように、売買春において批判されるべきは「買春者」もしくは「権力者」です。

女性たちはこれまで歴史を見ても、性搾取を余儀なくされ、その他の選択肢を奪われ続けてきました。

現在においてもそれは続いており、「一部の女性」の問題ではありません。現状、私も「高学歴」と称される大学に在籍しながらも性搾取の現場にもいました。それはその選択肢しか無かったからです。表に言えないだけで、多くの女性が性搾取の現状に苦しみ、選択したくない選択肢として性売買の現場にいま、この瞬間もいます。

そうさせてしまっている社会を強く批判します。利権や権力で繋がり続け、女性を悪いものとして仕立てているこの制度や社会を変えて欲しいと強く願うとともに、政治がこの現状を受け止め、行動して欲しいと思います。(かのん、20代)

報道の影響力を女性の人権侵害のために使わないでください

≪2025年7月24日、複数の報道機関により、東京・新宿区における性売買女性の摘発に関して、4名の女性の顔や名前、年齢、逮捕の様子が動画等で撮影され、報じられました。性売買女性を被害者ではなく加害者としてみなし、さらし者にする報道に抗議し、女性を処罰の対象とする売春防止法の改正と買春者処罰法の制定を強く訴え、緊急記者会見に参加し、以下のメッセージを報道各社に訴えました。≫

今回の報道を目にしたとき、言葉にならないほどのショックを受けました。震えて涙がでそうになりました。

彼女たちの姿が全世界中に晒されたことで、無数の人たちから「顔がどうだ」「こんな顔でよくできるね」「こいつとだったらやれる」と、言われるんだろうと思いました。実際にこれらの記事には「いいじゃん」「どれも無理だわ」「チェンジで」「これに金払うのか」「○○さんだけはアリだな」「きたねえな」という読者のコメントが溢れています。

今回の報道により、顔や名前を晒されてしまった女性たちはこれから、犯罪者と言うレッテルを貼られて生きないといけなくなりました。彼女たちを買った男性は報道でもモザイク処理がなされていました。買春した人はどこのだれかも報道されることもなく、犯罪者にならないのに、性を買われた女性たちだけが責められます。

性売買女性として顔や名前を出されたら、生きていけないです。就職もできない。この先、恋愛や結婚をしたいと思っても、「どうせ性売買したんでしょう」という目で見られ、生きていくのに100%不利になります。それで追い込まれたら、死ぬしかありません。

私も性売買を経験した当事者ですが、顔を出していなくても、これまでの傷つきから、人の目を気にして生活しています。性売買を経験した女性たちは、性を買われるなかで、あらゆる形での暴力、搾取、被害を受けます。そして、社会から差別と偏見の目で見られます。そのことで、被害から抜け出して、性売買をしないで生活できるようになっても、人の目を気にして生きて行かなければならなくなります。自分が性売買をしていたこと、体を売っていたことが誰かに気づかれるんじゃないか、自分を買った男に出会ってしまわないか、いつも怖くて、外に出られなくなってしまいます。

こんな報道がされたことで、私も、どこにいても、性売買をした女性なんだという目で見られる、そうみられていないとしてもそうみられているのではないかと怯えてしまい、夜も眠れなくなっています。

今も、大久保公園周辺に立っている少女や女性たちには、頼れる人がいなかったり、ホストなどで借金を背負わされたり、男の人に騙されてお金を稼ぐように言われて立っている人ばかりです。今そこにいる少女たちも、この報道を見て、誰も守ってくれない、私もいつかこうなるんじゃないかと怖いと思います。死にたくなると思います。

私が性売買をはじめたのは14歳の時でした。帰れる家がなく、仕事もなく、路上で「いくら?」「5000円でどぉ?」って言われ、応じる日々でした。病気を移されたり、レイプされたことも妊娠したこともあります。自分を買おうとする男性と性行為をすること、それ自体が自分をえぐるような行為でした。買春者は私を性欲処理の道具として扱い、人として扱っていないからです。

支援団体につながり、性売買から抜け出した後も、いつも、何かにおびえたり、周りの目を気にしてしまったりしています。自分を買った買春者に見られているんじゃないかと、周りを、キョロキョロしてしまうのがとまりません。

メディアのみなさんにお願いです。どうしてその子たちが性売買をしなければならなかったのか。女性たちの個人的な問題としてではなく、背景にある苦しみや事情、そしてなにより、買春者がいることや、大久保公園周辺に立つ少女や女性達を管理し性売買させる組織や人物がいることを報じてください。表面的な報道ではなく、取材をして性売買の問題をしっかり伝えてください。

本当にお願いです。その子たちの立場にすこしでも立ってください。

頭の片隅に

その子の人生があること

その子のこれからの生き方に

大きくかかわってくることを置いてほしいです。

報道の影響力の大きさを忘れずに、その立場を女性たちの人権侵害のために使わないでほしいです。

どうかお願いします。(なお、20代)

「自分には売れる体がある」から「自分には売れる体しかない」に変わっていた。

「いっぱい稼げて、かわいい制服で働けるよ」
そう言って女友達に誘われたのは、メイド喫茶だった。キラキラした女の子だったから、私もそうなりたい、一緒に働きたいと思った。ふわふわの制服を着て、研修を受けた。チェキの撮影があることは面接の際に言われていた。

「脱いで撮影したものじゃないし、可愛く撮れてるから記念になるよ。嫌だったら撮らなくてもいいけど、安全なお仕事だから考えてみてね」

そんなことを言われて高校生の私は、(脱いでないから大丈夫か)と納得したし、お客さんのオーダーが入れば断ることなどできなかった。それにチェキは一枚換算で自分にお金が入るので、どんどん撮るようになった。学費、生活費、交通費、食費、とにかくお金が必要だった。その写真が今どこの誰のもとにあるのか分からない。

バックルームには時々社長が居て、テレビで競馬を見ていた。制服が乱れているとか、汚れが付いているとか、しわがなんとか言われていつの間にか社長の腕の中に押し込まれた。狭いバックルームで大きな男を前になにもできなかった。その様子を一緒に働いている女の子も見て見ぬふりをしていて、誰も助けてくれない場所なんだと思った。

「社長きもいよね、でも我慢してるとお小遣いくれるよ」
一緒に働いている子からそう聞いた。だから私は我慢するようになった。社長は私の足や髪や腰を撫でまわして、耳元で臭い息を吐きながら下半身を擦り付けてきた。でも興奮状態が収まると本当にお小遣いをくれて、(脱がなくてもよくて触らなくてもいいなら大丈夫か)と高校生の私は思った。どんどん感覚が麻痺していった。

稼いでも稼いでも、お金は必要だった。ギャンブラーな親が気付くと私の口座からお金取ったり、財布からお金が抜かれたりしたから。大人しくお金を渡せば殴られたりしない、我慢すればマシだ、そう思っていた。

その時に写真のモデルの仕事に誘われた。日給がよくて、また(脱がないならいいか)と思って仕事を受けるようになった。最初は着衣の仕事ばかりだった。自分がモデルをしていることが誇らしくもあって、綺麗に映る自分を見ると楽しかった。

でも、指定された衣装のスカートの丈はどんどん短くなって、腕や足が出るものに変わってきた。(まだ脱いでいないから大丈夫だ)そう思おうとした。かわいい、かわいい、綺麗だね、スタイルが良いね、足が長いね、そう言われながらどんどん脱がされた。

固まる私に対して「これは五千円、上乗せするから」とお金の交渉をされて、目の前の息の荒い、下半身を勃起させて目がギラギラとした男から、私は早く逃げたくて、頷いて写真撮影を続けた。まだ私は高校生、17歳だった。

周りのモデルの友達に相談すると「やられなかっただけマシだよ」「仕事の相手選びなよ」と言われた。彼女たちもレイプまがいな経験を少なからずは一度はしていたからこう言うのだと思った。私は何も知らないままだった。

写真の撮影が終わってからしばらくは学校にもバイトにも行けず、寝込んだ。耳の奥で鳴り続けるシャッター音と男から掛けられた誉め言葉がずっとしているようで自分の頭はおかしくなったと思った。それでも家に居ると親兄弟に怒鳴られ、当たられ、殴られるので、外に出た。またお金が取られていたので、お金が必要だった。

メイド喫茶も撮影の仕事も受けないことにしたが、「個人でやるから危ない目に遭うんだよ」と周りに言われて事務所や所属先を探すことにした。

フラフラと短いスカートで歩いていたら女の人が近付いてきた。
「こんにちは、お姉さん、若いよね!うちの店で働かない?」そう声をかけられた。
「銀座のお店だから客層も良いし、時給も高いし、可愛いから稼げるよ!」
目の前の明るく綺麗なお姉さんにお茶に誘われて、ついていった。お店の話を聞いて、そのまま体験入店することになった。

お客さんは、紳士な人もいた。少しだけお触りがあるくらいで、メイド喫茶よりは全然マシな気がした。私はまだ19歳で、お姉さんが身分証を用意してくれた。働いてるお姉さんたちは、みんな優しかった。

「○○ちゃん、このお客さんとアフターに行ってみてほしいの」
そう言われて、常連さんだったし、信用しきった私は、行くことになった。高そうなご飯屋さんに連れていかれて
「あら、若い子連れて」と言われている60代のお客さんは自慢げで、私もその時は誇らしいことなんだと思った。

そのお店のエレベーターに乗ると、他のお客さんが降りて行き、二人きりになった。やばいと思った。
その瞬間、男の目の色が変わり、バンっという音と共に壁に押し付けられ、ガチっと歯と歯がぶつかってキスされた。男が、私の体の至るところを撫でまわした。私は固まっていた。

お姉さんや黒服に言うと、「二人きりになったらだめだと言ったのに」「お客さんを管理しないと」と言われた。まだ私は19歳で、どうしていいのか分からなかった。無断欠勤すると、車で黒服が家まで迎えに来て、お店で大量に酒を飲まされて、なにも分からなくさせられて、働き続けた。

「一週間だけ、勉強になるから京都に行って接待しておいで」
お店のママに言われたときには、ホテルも新幹線も全て手配されていた。
「上品なお客様だから大丈夫」
そう言われて、私は眠りにつくこともできないまま、仕事が終わった朝に出発した。

ホテルのキーは客も持っていて、駅まで迎えに来た客が、ホテルまで荷物を持つという。
ホテルの部屋につくとすぐにレイプされた。一週間、私は接待に行きながら、朝も昼も夜も客に犯され続けた。
いつもの何倍もお金をもらったから、これが私の値段なのだと思った。

私の値段。私の一晩を、買う人間が世の中には多くいた。私は既にもう何も考えられなくなっていた。
いつの間にか「自分には売れる体がある」から「自分には売れる体しかない」に変わっていた。

人生の壊れた音がした。